交通事故で相談機関を利用するときの注意点

交通事故ほど多くの相談機関が設置されているものはありません。都道府県や市町村の相談から弁護士会の相談まで、どこに行ったらよいか迷ってしまうほどです。しかも、そのほとんどが無料です。これほどいろいろな相談機関があるわけですから、それを利用しない手はありません。

各種の相談機関と相談者が注意すべきポイントを紹介します。

まず最初に相談内容を整理する

交通事故の相談といっても、その内容はいろいろです。そのため相談者は、まず何を相談したいのかを整理することが必要です。法律問題が絡んでいそうであれば、弁護士のいる相談機関を選択したほうがよいでしょう。保険の請求手続きについて知りたいのであれば、各損害保険会社の相談窓口や「そんぽADRセンター」がふさわしいでしょう。

また、相談全般にいえることですが、具体的な問題については、電話による相談は避けて、できる限り対面して話し合うことをおすすめします。電話で話すことは対面で相談するのとは違い、事故状況の微妙な点について伝えられないことがあり、ときには真意を誤解されて伝わってしまうこともあります。

相談機関によっては、予約制をとっているところもあります。予約制をとっていなくても、電話で問い合わせておけば、相談時間は何時から何時までか、弁護士が出勤しているのは何曜日の何時かを知ることができます。弁護士がいる日時がわかれば、損害賠償のことだけでなく法律問題についても聞くことができるので、何度も相談機関に出向く手間が省けます。

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必要書類を準備し、当事者が相談に行く

交通事故の相談では、事故の状況を正確に把握しておくことが非常に重要です。事故状況は過失割合を決定する際の、もっとも大事な要素となります。相談の段階で事故状況をもっともよく知っているのは、被害者側なら本人、加害者側は運転者です。

したがって、交通事故の相談には、できるだけ双方の当事者を同席させるようにしましょう。また、相談する際に、何の資料も持たず、手ぶらで出向く人もいますが、交通事故に関係あると思われる資料はできる限り持参したほうがよいのです。

資料がなく、ただ話だけの相談では、具体的な指針を得られないことがあります。結局、必要な書類を持参するように求められて、再度相談に行かなければならなくなる可能性もあります。これは、自分自身の時間が無駄になるだけでなく、他の相談者の時間がそれだけ少なくなるわけですから、他人に迷惑をかけることにもなるのです。

相談時間は概して30分から1時間くらいです。相談したいことの要点を要領よくまとめておかなければ、十分な相談を受けられないことになります。相談者によっては、とりとめがなく要領を得ないことを次から次へと話し、結局知りたい内容を相手に伝えられないことがあります。

少なくとも、事故状況の概略図を作成し、聞きたいことのメモくらいは作っておかなければ、実りある相談にはならないでしょう。

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日弁連交通事故相談センター

ここからは、各相談機関の特徴を紹介します。最初は「公益財団法人日弁連交通事故相談センター」です。この機関は、昭和42年に日本弁護士連合会が設立したもので、交通事故専門の総合相談所です。全国各地に相談所があり、交通事故のトラブルで悩む加害者あるいは被害者からの相談に当たっています。

交通事故の示談交渉で、相手方から示された金額や過失割合が妥当かどうかなどは、素人にはなかなか判断がつかないものです。保険会社の担当者が提示した示談条件に不満があるときには、示談する前にこの相談センターを利用することをおすすめします。

相談には、専門の弁護士が当たりますので、相談者が加害者であるか被害者であるかを問わず、公的な立場で妥当な賠償金額や過失割合などを教えてくれます。情報量が多ければ多いほど、相談に当たる弁護士は、交通事故の状況を具体的に把握し分析できるのです。

こんな書類は必要ないなどと勝手に判断せず、できるだけ多くの書類を持参しましょう。1回の相談時間は30分程度ですので、短い時間を有効に使う工夫も必要です。

この相談センターでは、各種の交通事故相談に応じるだけでなく、円満解決ができずに困っている人に対して、示談の斡旋もしてくれます。

法テラス

調停や訴訟がしたくても、費用の工面ができず、弁護士を頼めない人には、裁判費用を立て替えてくれる「法テラス(日本司法支援センター)」があります。法テラスは総合法律支援法に基づいて設立された独立行政法人で、最高裁判所が運営に関与する法人として発足しました。

ここでは、法律サービスを提供する関係機関等の情報を集約して、無料で提供がなされます。なお、情報提携業務とは、個々のトラブルの内容についての法律判断が行われるということであり、解決方法のアドバイスがもらえるということではありません。

民事法律扶助という業務では、裁判や調停で専門家の代理が必要な場合に弁護士を紹介し、その訴訟費用の立て替えが行われます。ただし、援助を受けるには、年収が一定額を下回っていることや、勝訴の見込みがあることなどの条件を満たす必要があります。

また、法テラスでは、コールセンターを設けて、専門のオペレーターが問い合わせに応じています。

そんぽADRセンター

損害保険業界では、従来、「損害保険相談室」と「自動車保険請求相談センター」を設けて、相談苦情処理のサービス業務を行ってきました。

この相談機関は、平成24年3月31日をもって廃止され、新たに誕生したのが「そんぽADRセンター」です。

そんぽADRセンター(損害保険・紛争解決センター)は、保険法に基づく指定紛争処理機関で、国の指定を受けた機関です。損害保険に関する苦情や紛争解決の申立を受けて、中立・公正な立場から問題解決が図られます。

ただし、そんぽADRセンターが受け付けることができる苦情や紛争解決の申立は、損害保険協会との間で手続き実施基本契約を締結している保険会社に関連するものに限られます。利用できる具体例としては、保険会社の対応に納得がいかないことや、賠償額算定に納得がいかないことなどが挙げられます。

これらを原因とする利用をまとめて「苦情解決手続き」と呼びます。また、苦情解決手続きを行ったあと、原則として60日を経過しても問題が解決しない場合は「紛争解決手続き」の申立ができます。